教員業績データベース |
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言語種別 | 日本語 |
演題 | 母子分離雄性マウスに対するGABAスイッチを介した高次機能への影響 |
学会名 | 第70回日本薬理学会西南部会 |
主催者 | 日本薬理学会 |
学会区分 | 地方会等 |
発表形態 | 口頭 |
発表形式 | 一般 |
発表形式名 | 一般 |
発表者・共同発表者 | 古川みなみ, 塚原飛央, 富田和男, 高裕子, 田中康一, 北中純一, 北中順惠, 西谷佳浩, 竹村基彦, 西山信好, 宮脇正一, 佐藤友昭 |
発表年月日 | 2017/11/18 |
開催地 (都市, 国名) |
鹿児島 |
概要 | 【目的】近年、幼少期ストレスは発達性障害などの発症に関与することが報告されているが、その原因は不明である。また、生後1、2週間において中枢神経の主要な抑制物質である GABA による機能は興奮性から抑制性へ変化する。これを GABA スイッチといい、正常な神経回路の構築に必須である。このことから、我々は育児放棄などの幼少期ストレスが GABA 機能に影響を与え、正常な発達が出来ず、発達性障害につながると考えた。本研究は、育児放棄モデルを用い GABA スイッチに与える影響を各種イメージング法にて解析し、行動解析を介して高次機能への影響を明らかにすることを目的とする。
【方法】C57/BL6J 雄性新生児マウスをコントロール群と母子分離群に分け、母子分離群には生後1~21日まで1日3時間の母子分離を行った。生後7、14、21、35日に脳を摘出し、免疫染色にて GABA の機能に影響を与える K+-Cl- 共輸送体2(KCC2)と Na+-K+-2Cl— 共輸送体1(NKCC1)の形態学的定量化を行った。また、Ca2+ イメージング法にて GABA スイッチの時期を解析した。思春期相当の生後35日から、オープンフィールド試験、新奇物質探索試験、高架十字迷路試験の行動解析を行った。 【結果と考察】免疫染色およびCa2+ イメージング法の結果から生後7、14、21日において、母子分離群は GABA スイッチに必須な KCC2 が減少しており、GABA スイッチの時期は遅れていた。また、母子分離群は生後35日においても KCC2 が減少しており、GABA スイッチ終了後も GABA 抑制系機能の異常が示唆された。また、NKCC1については母子分離群とコントロール群で有意差を認めなかった。行動解析の結果、母子分離群においてオープンフィールド試験から多動、新奇物質探索試験から認知機能の低下、高架十字迷路試験から注意力の欠陥といった行動異常を認めた。これらの結果から、GABA スイッチの遅れによる脳機能発達障害によって行動異常を起こし、発達性障害様行動が現れた可能性が示唆された。 |