教員業績データベース |
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言語種別 | 日本語 |
演題 | 経過観察にて早期に発見し得た45,X/46,XY男性に発生した精巣腫瘍の1例 |
学会名 | 第26回日本小児泌尿器科学会総会・学術集会 |
学会区分 | 国内学会 |
発表形態 | ポスター掲示 |
発表形式 | 一般 |
発表形式名 | 一般 |
発表者・共同発表者 | 齊藤 亮一, 寺田 直樹, 兼松 明弘, 今村 正明, 小川 修 |
発表年月日 | 2017/07/06 |
開催地 (都市, 国名) |
名古屋 |
学会抄録 | 日本小児泌尿器科学会雑誌 26(2),287 2017 |
概要 | 【緒言】性染色体異常は性分化異常だけでなく、性腺悪 性腫瘍の発生に関与する可能性が示唆されているため、 早期の性腺摘除を勧められることがある。今回我々は 45,X/46,XY 男性の経過観察中に早期に発見し得た精巣 腫瘍の 1 例を経験したので報告する。
【症例】25 歳男性。3 歳時に右停留精巣(鼠径部)と近 位型尿道下裂にて右精巣固定術と尿道板切除術、4 歳時 に尿道形成術、12 歳時に外尿道口形成術を施行。小児 期に小児科にて染色体検査を施行し、45,X/46,XY であっ た。3 歳時の精巣固定術時に両側精巣生検を行っている が、悪性所見を認めなかったため、性腺摘除は行わず経 過観察となった。17 歳時に精巣生検を考慮され、当科 紹介受診。右精巣に微小石灰化を認めるほかは、内分泌 学的異常を認めず、厳密な経過観察が可能であれば生検 は必ずしも必須ではないのではないかとの議論のもと に、半年ごとの超音波検査と血液検査による厳重経過観 察とした。24 歳時に超音波検査上、右精巣内に異常所 見を認めたため、腹部 MRI 検査施行。右精巣腫瘍が疑わ れたため、右高位精巣摘除術を行った。病理組織学的検 査ではセミノーマ+奇形腫, pT1の診断で、CTでは遠 隔転移を認めず、現在まで再発転移を認めていない。 【考察と結語】45,X/46,XY の男性に対して、停留精巣術 後に思春期以降厳重な経過観察を行い、精巣腫瘍を早期 に治療し得た 1 例を経験した。本 DSD 患者の性腺には 悪性化のリスクがあり、性分化疾患についてのコンセ ンサス論文(Lee, et al. PEDIATRICS, 2006)では思春 期—思春期後に生検を勧めているが、生検は侵襲的であ る上に診断的価値が確定的でないという考え方もある。 男性型で性腺が陰嚢内に位置する症例では性腺の温存 が可能である。ただし、停留精巣を既往に持つ症例では、 性腺を温存した場合に腫瘍を発症する可能性は比較的 高いと考えられ、特に厳重な経過観察が必要である。 |