教員業績データベース |
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言語種別 | 日本語 |
演題 | 小児精巣奇形腫に対しての精巣温存手術方法の選択 |
学会名 | 第26回日本小児泌尿器科学会総会・学術集会 |
学会区分 | 国内学会 |
発表形態 | 口頭 |
発表形式 | 一般 |
発表形式名 | 一般 |
発表者・共同発表者 | 橋本 貴彦, 兼松 明弘, 田口 元博, 大嶋 浩一, 山田 祐介, 野島 道生, 山本 新吾 |
発表年月日 | 2017/07/07 |
開催地 (都市, 国名) |
名古屋 |
学会抄録 | 日本小児泌尿器科学会雑誌 26(2),251 2017 |
概要 | 【背景】精巣成熟奇形腫は小児精巣腫瘍の中で最も頻度 が高い良性腫瘍であり、精巣温存治療が主流となってき た。
【対象】2011 年 10 月から 2016 年 6 月に当院で精巣奇 形腫 6 例 7 精巣に対して腫瘍核出術を行った。年齢は 1~12 歳(中央値 1 ± 4.7)、右:左= 2:5 で嚢胞状 5 例、 充実性 2 例であった。術前 AFP は 1 歳未満の1例を除き 正常範囲であった。精巣奇形腫の診断で腫瘍核出術施 行し、病理結果はいずれもmature teratomaであった。 完全に充実性腫瘍を認めた2例2精巣は11、12 歳の思 春期前期症例で悪性の可能性も否定できず、経鼠径アプ ローチで術中病理診断が得られるまで精巣は阻血した。 阻血時間は 60 分、63 分であった。その他 4 例 5 精巣で は嚢胞性腫瘍をみとめ、1 歳 ~1 歳 6 ヶ月で診断された。 このうち 3 例では初診時は精巣嚢胞と診断されていたが 経過観察中に充実性成分を認めるようになったもので、 1 例は両側例、2 例は一卵性双生児であった。基本的に 経陰嚢アプローチ、無阻血で腫瘍核出を行った。術後観 察期間は 9 ヶ月から 4 年 6 ヶ月で全例再発なく経過して いる。精巣組織温存を両側症例 1 例を除いて検討した。 摘出前の精巣に占める腫瘍の容積率は、阻血例2例で 22.6%、23%、無阻血例3例で 19%、22%、32%とほぼ 同等であった。一方摘出後の患側の健側に対する精巣容 積率は、阻血例2例で 44.9%、134%に対して無阻血例 3例で 77.5%、109%、120%であり、阻血例では萎縮 例を認めたのに対して無阻血例では認めなかった。 【考察】奇形腫核出術は標準治療として確立しつつある。 幼児期の成熟奇形腫は良性であるが、成人の奇形腫は悪 性として取り扱うべきである。また、乳児期の精巣の嚢 胞性腫瘍が悪性であった報告はない。このため悪性の可 能性を完全に否定できない思春期前期の充実性腫瘍と、 悪性疑いのない幼児期の嚢胞性腫瘤とでは異なるアプ ローチ、阻血方針で臨むことが可能である。 |