教員業績データベース |
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言語種別 | 日本語 |
演題 | 小児泌尿器科疾患の成育医療 私たちが治療したその子、経過観察としたあの子、幸せな思春期を迎えているんでしょうか? 尿道下裂患者患者の性交、結婚、挙児についての長期調査結果から臨床に反映されること |
学会名 | 第26回日本小児泌尿器科学会総会・学術集会 |
学会区分 | 国内学会 |
発表形態 | 口頭 |
発表形式 | シンポジウム・ワークショップ パネル(指名) |
発表形式名 | シンポジウム・ワークショップ・パネル(指名) |
発表者・共同発表者 | 兼松 明弘 |
発表年月日 | 2017/07/07 |
開催地 (都市, 国名) |
名古屋 |
学会抄録 | 日本小児泌尿器科学会雑誌 26(2),206 2017 |
概要 | 尿道下裂は幼児期に修復術が行われるが、術後の性交、結婚、挙児など男性としての人生は明らかで はなかった。我々は 1973 年から 1998 年までに当施設で生駒文彦元教授が尿道下裂修復術を施行した患 者のうちで 18 歳未満で治療を受け、回答時に 18 歳以上であるものについての調査を行った (J Sex Med 2016)。対象症例は 108 例で二期手術 79 例、一期手術 12 例、他院の再手術 17 例だった。当初の尿道 口の位置が診療録で確認できたもののうち 57 例は比較的軽度、36 例は高度症例であった。本調査では 性交、結婚、挙児について年齢をアウトカムとした生存率解析を始めて導入した。その結果、対象患者 全体では性交および挙児年齢について全国平均との明らかな差はなかった。さらに出生週、出生時体重、 現在の身長と体重、IPSS、IPSS-QOL、IIEF-1、尿道下裂の重症度、停留精巣の有無、現在の定職の有無、 最終学歴、術後の再手術の有無の 13 の候補因子について、性交、結婚、挙児に関連する因子を検討した。 その結果、性交については尿道下裂の重症度が(Cox 多変量解析で p=0.025)、結婚については現在の定 職の有無が(同、p=0.02)、挙児については当科術後の追加手術の有無が(同、p=0.013)が影響を及ぼ していた。高度尿道下裂症例では性交率が低いことが示されたが、結婚は社会的要素が、挙児では手術 結果が関与していた。本調査は二期手術時代からのものであるが、一期手術時代で同様の調査がでるま では尿道下裂患児の保護者への説明や、成人期の術後患者の位置づけのために参照とすべき知見である。 また、高度下裂の陰茎長を少しでも長くする手術は可能か、挙児に悪影響を与える追加手術を少しでも 減らせるか、など今日の臨床について考えるべき課題を多く与えている。 |