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論文種別 | 総説 |
言語種別 | 日本語 |
査読の有無 | 査読あり |
招待の有無 | 招待あり |
表題 | 「医学・医療のトピックス」 アンチエイジングへの挑戦 高齢者の味覚障害 |
掲載誌名 | 正式名:日本耳鼻咽喉科学会会報 ISSNコード:00306622 |
掲載区分 | 国内 |
巻・号・頁 | 121(5),633-38頁 |
著者・共著者 | 任 智美 |
発行年月 | 2018/05 |
概要 | 高齢者の味覚障害はフレイルを引き起こす要因の一つと考えられる。長期に渡る慢性疾患や内服、消化や口腔機能の低下、また中枢機能の変化など高齢者に特有の状態を総合的にとらえる必要がある。時に味覚障害を自覚せずに食欲の低下、嗜好の変化などが表面化して気づくこともあることから、疑わしい時は味覚機能検査を施行する必要がある。味覚検査は電気味覚検査と濾紙ディスクが本邦で使用されているものであるが、各検査結果は年齢によって閾値が異なるので年齢を考慮して評価する。また認知障害を伴う場合は両者に乖離がみられることも念頭に置く必要がある。障害部位は末梢受容器から中枢、心因性までさまざまであるが、特発性味覚障害の改善率や治療期間は若年者と比較して有意な差がないため、積極的な治療が望まれるところである。高齢者は亜鉛の吸収能が低下し、排泄が増大することから低亜鉛血症に陥りやすい。現在では唯一亜鉛内服療法が味覚障害に対してエビデンスをもつ治療である。しかし亜鉛内服療法に効果を示さず、漢方などが功を奏すことも経験されるため、随証に合わせた処方を考える。時にうつに伴う味覚低下から食欲低下を訴える症例にはベンゾジアゼピン系やNaSSAなどの抗うつ薬を考慮する。精神症状が前面に出ている場合は速やかな精神科へのコンサルトが必要となる。時に味覚障害からさまざまな全身疾患が発見される場合もある。味覚障害をまずは全身疾患として捉えることが必要で、他科との連携が重要となる。また味覚を狭義で捉えるのではなく、風味、一般体性感覚、食文化、食環境など広義にとらえ、原因を追究、対応を考慮する。(著者抄録) |
文献番号 | S604410001<Pre 医中誌> |