教員業績データベース |
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論文種別 | 総説 |
言語種別 | 日本語 |
査読の有無 | 査読なし |
表題 | 耐性菌を念頭においた尿路感染への抗菌薬の使用 感染制御からの取り組み |
掲載誌名 | 正式名:日本化学療法学会雑誌 ISSNコード:1340-7007 |
掲載区分 | 国内 |
巻・号・頁 | 64(3),513-517頁 |
著者・共著者 | 中嶋 一彦, 竹末 芳生, 一木 薫, 植田 貴史, 土井田 明弘, 和田 恭直, 土田 敏恵 |
発行年月 | 2016/05 |
概要 | 尿路感染症の原因菌の耐性化増加が指摘されており、特にextended spectrum β-lactamase(ESBL)産生菌とカルバペネム耐性腸内細菌科が問題となっている。ESBL産生菌に対してはカルバペネム系薬が有効であるが、ESBL産生菌に対し、すべての症例にカルバペネム系薬を使用することはカルバペネム系薬の使用を増加させ、緑膿菌などの耐性化を高める危険性を有する。カルバペネム系薬の過度の使用を避けるために、ESBL産生菌に対し、カルバペネム系薬以外の代替薬が考慮される。ESBL産生菌の感受性試験ではオキサセフェム/セファアイシン系が有効であるとされる。われわれは(a)軽症から中等症の感染症、(b)エムピリックにカルバペネム系薬以外の抗菌薬が使用され、経過が良好なため継続して使用、(c)カルバペネム系薬の長期使用のための代替薬として使用する条件でオキサセフェム、セファマイシン、タゾバクタム/ピペラシリンの使用を行っている。尿路感染29例に対しての、代替使用を含めた全有効率はカルバペネム系薬が100%、タゾバクタム/ピペラシリンは62.5%、オキサセフェム/セファマイシンでは72.2%、ニューキノロン系薬66.7%であった。重症例では治療効果から選択することは適切ではないが、ESBL産生菌はニューキノロン系薬に対する耐性率も高いことが報告されていることもあり、軽症例に対する治療の選択肢の一つとして考慮される。さらに、近年カルバペネム系薬に耐性を有するカルバペネム耐性腸内細菌科の出現が世界的に問題になってきており、日本でもアウトブレイク事例も生じている。当院にてもカルバペネム耐性腸内細菌科細菌によるアウトブレイクや感染症例を経験しており、本症例ではセプシスを生じ、トブラマイシンとホスホマイシンの併用治療を行った。カルバペネム耐性腸内細菌科細菌は便や尿を介して伝播することも多く、他の患者への伝播を防ぐことが必要である。これらの耐性グラム陰性腸内細菌科の感染対策には抗菌薬に加え伝播防止の面からも注意が必要である。(著者抄録) |
文献番号 | 2016268928 |